―はじめに―
本日ここに、令和8年第2回野木町議会定例会が開会され、一般会計予算をはじめとする諸議案のご審議をお願いするにあたり、私の町政運営に臨む所信の一端を申し上げます。
近年、世界に目を向けますと、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化をはじめ、アメリカ、イスラエルのイラン攻撃等各地での緊張の高まりや分断の深まりは深刻さを増し、依然として不透明な状況が続いております。世界各国間の紛争を見るにつけて改めて平和の尊さを感じる次第です。
このような国際情勢の中、円安や原材料、エネルギー価格の高騰など、町民の皆様の生活や事業運営に、多大な影響が及んでいるのが現状です。さらに今後も諸物価の上昇が続くようであれば、町民生活の下支えをする支援策を考えなければと思っております。
また、国内においては、少子高齢化による人口減少が進行し、地域の担い手不足、医療や介護需要の増加、社会保障費の負担増など、構造的な課題が一層顕在化しております。さらに、令和6年の能登半島地震や豪雨災害等を契機として、災害への備えの重要性が改めて共有され、多様な災害リスクへの対応力が問われております。気候変動の影響により、これまでの想定をはるかに超える降雨や猛暑が生じていることを踏まえ、平時からの備えと、いざという時の確実な避難・支援体制の整備が不可欠であります。
このような社会経済情勢の変化に的確に対応するため、令和8年度におきましても、町民、議会、行政がそれぞれの役割を発揮し、「オール野木」体制で課題解決に取り組んでまいりたいと思います。
それでは令和8年度の町政運営の基本方針を申し上げます。
―町政運営の基本方針―
我が国は、深刻な少子高齢化・人口減少社会に突入しており、地方においては、地域コミュニティの維持、産業の担い手確保、公共交通や医療提供体制の確保など、持続可能な生活基盤の確立が問われております。野木町においても、高齢者が3分の1以上という人口構造の変化は避けられない現実であり、将来にわたって安定的な行政サービスを提供していくためには、施策の選択と集中、効率的・効果的な事業実施が必然のこととなっております。
一方で、本町は、首都圏に近接し、交通利便性を有する立地であり、工業団地を中心に優良産業の集積や、水と緑と人の和に支えられた地域力など、キラリと光る潜在力の可能性は豊かにあると思っています。これらの強みを生かし、若い世代や子育て世代にも選ばれるまちづくりを進めるとともに、高齢者の皆様が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる仕組みを整えていくことが重要であります。
また、国においては、地方創生2.0の考え方のもと、若者・女性にも選ばれる地方の実現、デジタル化促進による効率的な地域課題の解決、関係人口の拡大などが基本姿勢や視点として掲げられております。併せて、こども、子育て支援の総合的な推進、医療・介護の地域包括ケアシステムの深化、国土強靱化、防災・減災、脱炭素の推進など、特に、他自治体とも連携して進めるべき施策が示されております。
本町としても、国・県の動向と整合性を保ちつつ、基礎自治体として、町民生活に直結する施策を町民生活の幸福実現のために着実に前進させてまいります。
DXが社会全体として進展する中、本町においても、窓口手続のオンライン化や「書かない窓口」の推進などを通じて、住民サービスの利便性向上を図ってまいりました。令和8年度は、これまでの取り組みを定着させ、さらに拡充の段階へ進歩させてまいりますが、対面での説明や手続きの良さも生かした上で、真の住民サービスとなるように推進を図ります。
以上の認識のもと、「水と緑と人の和でうるおいのあるまち」を将来像とし、まちづくりの理念を「やさしさとやすらぎに満ちた明るいまち」と位置づけ、町民の幸福度、ウェルビーイングが高まるまちづくりを推進してまいります。その実現のために、戦略的に取り組んでいく施策として、引き続き「安全・安心のまちづくり」「少子高齢化対策」「町の活性化策」の3重点施策を中心に推進を図ってまいります。
それでは、3重点施策の主なものを申し上げます。
-令和8年度の重点施策-
1.安全・安心のまちづくり
近年の豪雨災害の頻発を踏まえ、町民の皆様と危機意識を共有し、的確な情報のもとに、敏速な避難行動につながるよう、防災情報の提供体制を充実してまいります。
また、思川の治水対策につきましては、国において松原大橋上流左岸の築堤事業並びに松原大橋下流の樹木等伐採事業が進められております。引き続き国・県と連携し、早期完了に向けて要望を継続しつつ、協力体制を保ってまいります。川西地区水防拠点整備につきましても、計画に基づき整備を進め、出水期に備えた体制の強化を図ります。
さらに、避難所の環境改善につきましては、猛暑対策や感染症への備えの観点からも重要ですので、令和7年度に設計を行った町体育センター、2つの中学校体育館の空調設備を整備するとともに、5つの小学校体育館の空調設備の設計を行います。
次に公共交通施策としましては、令和7年度に導入しましたAIデマンド交通システムにより、乗車される方々をより最短で適切なルートで送迎できるようになりましたし、スマートフォンやパソコンからも24時間いつでも予約が可能となり、予約時におおよその送迎時間が確認できるようになりました。また令和7年度に、1台の車両が増車され、交通ネットワークの強化が図られましたので、今後も町の唯一の公共交通として、さらなる効率化と利便性の向上を追求し、持続可能な公共交通としてより多くの方々に愛される「キラ輪号」となりますよう、努力してまいります。
道路の整備につきましては、都市計画道路小山・野木線の開通等に伴う通過交通への対応として、野木工業団地内交差点の右折レーン設置を促進し、安全性と円滑性の向上を図ります。新4号アクセス道路につきましても最終段階に入ってまいりましたので古河市とよく協議しながら進めてまいります。
また、匿名・流動型犯罪グループによる事件や自動車盗難等が社会問題となる中、地域の防犯力を高めることは喫緊の課題であります。令和7年度から開始した家庭用防犯対策費補助事業もより広く、住民に周知するとともに、警察等関係機関との連携を強化してまいります。
獣害対策につきましては、特にイノシシ等の有害鳥獣対策設備設置に係る補助を新たに開始します。
現在も物価高騰が長期化する中、子育て世帯の負担軽減は重要でありますので、令和8年度は小中学校給食費を全額補助いたします。さらに、幼稚園、保育園の副食費の一部にも補助金を支給します。
2.少子高齢化対策
人口減少や少子高齢化の進展に伴い、町民が抱える様々な課題は複雑化・複合化しております。総合サポートセンター「ひまわり館」におけるワンストップ相談体制を基盤として、子育て、福祉、介護、障がい、生活困窮等の相談支援を関係機関と、引き続き支援してまいります。問題の早期把握を強化し、必要な支援が迅速に届くよう、体制づくりを着実に進めてまいります。
また、国における切れ目のない子ども・子育て支援として、本町でもこども家庭センターの機能をより充実させ、妊娠期から子育て期まで一体的に支援してまいります。場合によっては、母子保健や児童福祉とも連携し、さらに関係機関とも協力し合って、伴走型支援体制を整えてまいります。
町では「子どもは町の宝」と位置づけ、子育て支援の充実を図ってまいりました。令和8年度も引き続き、18歳までの医療費無料化や出産祝金、小中学校入学祝品交付事業について、お子様全員同じ額への見直しも行ってまいります。また、保育サービスについては、保育園の待機児童ゼロを継続するとともに、時間単位で預けることのできる「こども誰でも通園制度」を導入し、働き方にかかわらず必要な支援を受けられる環境を整えてまいります。さらに、令和8年度においては、小中学校給食費を全額補助することにより、子育て世帯の経済的負担の軽減を図ります。
学校教育においては、幼保・小・中連携を一層推進し、子ども達の学びの連続性を大切にしながら、確かな学力と豊かな心の育成に努めます。町独自に非常勤講師、支援員、スクールカウンセラー等を加配し、児童生徒一人ひとりに寄り添った支援を継続します。ICTを活用した学びについては、GIGAスクール構想で整備したICT機器を有効活用し、授業改善と学習の最適化を進めます。特に英語教育については、ALT全校配置、英検3級の検定料補助等を継続し、英語力向上推進リーダーによる授業支援も継続し、教職員の指導力向上に努めます。小学生のイングリッシュキャンプ・オンライン授業、中学生の海外派遣など、実体験を重視した学びを通して、多様な価値観に触れる機会を確保してまいります。また食農教育につきましては、自分達で野菜を育て、収穫し、食べるとともに、販売までも体験することで、自然と向き合い、自分たちで考える自発性を尊重した取り組みを促進してまいります。
読書のまちづくりといたしましては、「キラリと光る読書のまち野木宣言」にある読書活動を推進するため、学校図書館司書の全校配置、ブックスタート、ブックスタートフォローアップ、ブックプラスワン、読書感想文コンクール等を継続し、子どもの読書意欲を喚起し、学びの基礎を育んでまいります。また一般の方々の読書活動も引き続き促進してまいります。
次に高齢者の皆様は「町の財産」である、と位置づけ、住み慣れた地域で安心して生活し続けられるよう支援してまいります。フレイル予防の教室や講習会、ふれあいサロン、老人クラブ等の活動を継続し、社会参加の機会を確保し、地域で交流が図れるように支援してまいります。
また、一人暮らしの高齢者の方へは、安全安心見守りネットワーク事業、緊急通報装置の貸与、軽度生活支援、配食サービス、ごみ出しサポート事業を継続します。さらに高齢者が町外の病院へ通院する時には、タクシー料金の助成事業や外出支援事業等も活用していただき、移動の支援に当たってまいります。
令和7年度に創設した補聴器購入費補助については、今年度も継続し、聞こえの改善を通して社会参加の促進をはかり、認知症予防の観点からも支援を進めます。
3.町の活性化策
商業や観光事業を振興し、地域の活力を高めて、将来にわたり持続可能な町の姿を確かなものとしてまいります。野木町の夏の風物詩である「ひまわりフェスティバル」につきましては、「ひまわりの里」野木町にふさわしい催しとして、引き続き関係者と協力して開催します。
野木町煉瓦窯がグランドオープンしてから、10周年という節目の年を迎えますので、令和8年度1年を通して記念事業を行います。まず、春にはフラワーカーペットの作成を行い、町内外から多くの来訪者を迎え、記念の年を盛り上げます。
産業祭では、農・商・工一体となって地域の魅力発信をする絶好の機会として開催を継続し、にぎわいの創出と産業の振興に当たります。
また脱炭素化社会の実現に向け、電気自動車、住宅用太陽光発電、蓄電システム、ゼロエネルギーハウス等への補助を継続し、ゼロカーボンへの取り組みを後押しします。地球温暖化対策実行計画に基づく目標達成に向けて、野木町ゼロカーボンシティ宣言のとおり、町民・事業者・町が一体となって温室効果ガス削減に取り組み、将来世代に誇れるゼロカーボンシティを目指します。
農業振興につきましては、農業の法人化、経営規模拡大の支援、中谷土地改良事業の推進、グリーン農業・スマート農業の推進等により、持続可能な農業の実現を目指します。また、策定された地域計画に基づき、農地の集積と集約化を進めるとともに、耕作放棄地対策を推進していきます。また、農業次世代人材支援事業により新規就農者への支援を重点的に進め、後継者不足の解消にも努めます。さらに農業の魅力を次世代につなげるために、より広く地産地消や食育との連携を図り、接点を探ってまいります。
商業につきましては、中小企業融資事業や商工会支援策を推進することで、経営基盤の強化や地域経済の好循環がなされるように、各事業所と連携をとりながら、振興策を推進してまいります。
後継者に悩む中小企業に対しましても、早めの支援が出来るよう心掛けてまいります。
また、新たに創業する方に対し、事業開始の初期費用の一部を補助するスタートアップ支援事業を新たに行ってまいります。
工業につきましては、企業誘致奨励金事業とともに、中長期的視点に立ち、交通アクセスの利便性を生かした町内の新たな産業用地拡大について調査研究を進めてまいります。
道の駅整備につきましては、これまでの調査・研究を踏まえ、令和7年度に設置した「道の駅推進班」を中心に、国・県と情報を共有し連携をはかりながら検討を進めてまいります。併せて、道の駅のアンケート結果の集計、検証、先進事例の研究を進めます。道の駅が、地域の産業振興や経済の活性化、防災機能の強化、情報の発信基地、子どもの遊び場、交流人口の増加など、多様な効果を確認しつつ、実現の可能性を検討してまいります。
健康タウンのぎ事業として、肺がん・大腸がん検診の自己負担ゼロを継続します。季節性インフルエンザワクチンの接種助成についても、65歳以上の方及び18歳以下の方を対象に引き続き実施し、感染症予防と重症化予防に努めることとします。全世代が心身ともに健康に暮らせるまちづくりを進め、健康増進策と地域の支え合いを強化し、健康タウンのぎ宣言にふさわしい町づくりを進めます。
移住定住施策としては、野木町が「子育てしやすく暮らしやすい町」であることを対外的に強く発信し、若者や子育て世代の定住を促進してまいります。定住促進補助、移住支援金、新婚世帯の住居費助成策を引き続き継続し、野木町での新生活を支援し、後押しします。また、中心市街地を活性化するためにも、空き家の利活用促進に努め、住環境の改善に努めます。これにより、地域の魅力向上と安全安心策となると思います。
緑地資源の保全・活用につきましては、緑の基本計画に掲げる施策を推進し、適切な緑地資源の保全と利活用を進めてまいります。その中でも平地林の危険木等の伐採支援事業を通じて、適正な保全を図るとともに、元気な森づくり基金を利用した美しい景観形成の確保にも努めてまいります。
DX推進事業につきましては、「書かない窓口」の推進により、来庁時の負担軽減と待ち時間の短縮を図ります。高齢者等、デジタルに不慣れな方にも利用しやすいように、窓口での寄り添いとともに、丁寧な説明を行い周知に努めてまいります。
デジタル化が目的ではなく、町民の皆様の利便性向上とともに、今後も持続可能な町とするためにも対面での丁寧な対応を一番大切に考えて、事務手続の簡素化・省力化を進めていくこととします。これによって、より町民にとって大切な行政の運営に重点的に取り組むためのDXの推進としたいと思います。
以上3重点施策につきましては、いずれも町にとりまして重要な施策ばかりですので、確実に実行し、町の発展に繋げてまいりたいと思います。
次に令和8年度の「予算編成の基本的な考え方」についてご説明申し上げます。
新年度の予算(案)につきましては、国・県の補助金等を出来る限り有効に活用して財源を確保し、重点施策を力強く推進するための予算編成といたしました。
令和8年度一般会計予算(案)は、96億5,500万円とし、昨年度と比較して、2億7,800万円、約2.8%の減となっております。
予算総額につきましては、野木工業団地交差点改良事業費や友沼橋橋脚等長寿命化事業が終了し、その分の差が減額の主な理由となっておりますが、3重点施策は継続して確実に推進するための予算組みとなっております。
他に、4つの特別会計予算(案)の合計は、55億3,022万円となり、昨年度と比較して2億1,432万円、約4.0%の増額となっております。
国民健康保険特別会計は、子ども・子育て支援金の賦課徴収等により増額となり、高齢化の進展に伴う被保険者数の増加により後期高齢者医療特別会計も増額となっております。介護保険特別会計につきましては、近年の保険給付費の増減を踏まえた予算計上を行い、引き続き安定した介護保険事業を行ってまいります。
水道事業会計及び下水道事業会計につきましては、地方公営企業法に則し、適正な運営を行ってまいります。
また、将来にわたり、安定的な上下水道サービスを維持するため、適正な料金設定と業務の効率化推進に努めることで、持続可能な堅実経営に努めてまいります。
以上が令和8年度予算編成の概略でございます。なお、執行に当たっては慎重かつ細心の注意を払い、より効果的な施策となるよう努めてまいります。
-むすびに-
現在の情勢では物価高騰や人件費の上昇等により、財政運営を取り巻く環境は厳しさを増しております。しかし限られた財源を有効に活用しながら、令和8年度も町民生活の安全安心の確保と利便性の向上、少子高齢化対策、さらに町の活性化のために、細心の注意を払いながら全力で執行してまいります。
私たち行政の務めは、町民の皆様が幸せを感じ、安心して暮らせる環境を整えることであります。そのために、国・県・関係機関や他自治体とも連携を図りながら、事業推進には常にスピード感を持って対処してまいります。
また、協働の町づくりの理念は、多様な生き方や価値観が認め合え、互いに支え合うことができることが大切であると考えております。ボランティア活動の支援や町民相互の交流、ネットワークの拡充、公民の協働による事業推進を図るとともに、女性や高齢者、障がいのある方など、誰もが活躍できるユニバーサルなデザインコンセプトで環境の整備を整えてまいります。
結びになりますが、今後も町民の皆様が主役となって輝き協働で支えあえる「小さくてもキラリと光る」野木町を目指してまいります。そして、町民の皆様にはさらに「住んでよかった」「これからも住み続けたい」と思っていただける施策を常に心がけてまいります。また町外の方々にも「野木町に住んでみたい」と思っていただけるように、町の魅力を一層磨き上げ発進してまいります。
「やさしさと安らぎに満ちた明るい町」野木町で全世代の皆様が、ともに安心して暮らせるよう、まちづくりを進めてまいります。
今後も皆様のご指導ご鞭撻を心よりお願い申し上げまして、令和8年度の施政方針といたします。
ご清聴ありがとうございました。