はじめに
本日ここに、令和7年第2回野木町議会定例会が開会され、一般会計予算をはじめとする議案のご審議をお願いするにあたり、私の町政運営にあたる所信の一端を申し上げます。
近年、海外においてはロシアによるウクライナ侵攻の長期化等不安定な国際情勢が続いていることや国際的な原材料価格の上昇、円安の影響により物価が高騰し、町民の皆様の家計にも大きな影響が及んでいると思います。
また、国内に目を向けますと、能登半島では令和6年1月の地震、また9月の豪雨と続けて甚大な災害が発生し、人的被害はもとよりインフラや住家被害の復旧がまだ道半ばであります。また直近の大船渡市での山火事等を対岸の火事とせず、自分事として捉え、野木町としても災害への備えの重要性を再認識し、誰もが安全に安心して暮らしていける施策を優先的に推進する必要があると考えております。
令和7年度もこのような社会経済の情勢や時代の変化に速やかに対応していくために、町民・議会・行政がそれぞれの役割を如何なく発揮し、「オール野木」体制で歩んでまいりたいと思っておりますので、引き続き皆様のご協力をお願い申し上げます。
それでは令和7年度の町政運営の基本方針を申し上げます。
町政運営の基本方針
町は、引き続き第8次野木町総合計画「キラリのぎプラン」後期基本計画および第2期野木町総合戦略等に基づき、「水と緑と人の和でうるおいのあるまち」を将来像に掲げ、まちづくりの基本理念を「やさしさとやすらぎに満ちた明るいまち」と位置づけ、町民が和やかに、明るく、町民それぞれの幸福度、ウェルビーイングが増していくようなまちづくりを目指して、各施策の実現に向けて、尽力してまいります。
また社会全体としてDXが進展するなか、町でも全庁的なDXの推進により、窓口申請手続や業務の効率化を図るとともに、持続可能な社会形成のためにカーボンニュートラルの実現を目指しながら、時代に即応した町政運営を進めてまいります。
我が国は、深刻な少子高齢化・人口減少社会を迎え、野木町もその流れに対応する町政運営が求められております。この状況に的確に対応するため、町の魅力をさらに磨き上げ、「住んでみたい」「住んでよかった」「これからも住み続けたい」と思っていただけるような「誰もが幸せを感じる町、野木町」を目指してまいります。そして、子どもから高齢者まで、誰もが住みやすく暮らしやすい環境を整えることで、全世代型のまちづくりを推進し、年齢を問わず誰もが安心して暮らせるよう、地域のコミュニティ、日常生活に不可欠なサービスを維持してまいります。
その実現のために、戦略的に取り組んでいく施策として、引き続き「安全・安心のまちづくり」「少子高齢化対策」「町の活性化策」の3重点施策を中心に推進を図ってまいります。
それでは、3重点施策の主なものを申し上げます。
令和7年度の重点施策
安全・安心のまちづくり
安全・安心策の中で、まず、防災減災対策としては、集中豪雨対策として、現行の洪水ハザードマップとは別に、内水ハザードマップを作成して町民と危機情報を共有し、安全な避難への活用を目指してまいります。また思川の治水対策につきましては、国において、松原大橋上流の築堤事業並びに松原大橋下流の樹木等の伐採事業を進めていただいており、引き続き国や県と連携して、早期完了に向けて事業を推進してまいります。川西地区水防拠点整備は令和7年度から2年間で整備を進めてまいります。
また近年の大地震に対する木造住宅倒壊の危険を鑑み、旧耐震基準で建てられた木造住宅の耐震化に対して各種補助事業を実施してまいります。
また、防犯対策としては、匿名・流動型犯罪グループによる強盗事件や自動車盗難事件などが増加している昨今、防犯対策として令和7年度からは家庭用防犯対策費補助も開始し、地域の防犯力の強化に努めます。
道路・交通網については、まず道路整備において、都市計画道路小山・野木線の開通時の通過交通に対応するため、野木工業団地内の交差点を改良して右折レーンの設置を進めます。
次に公共交通対策としては、令和5年度に策定した地域公共交通計画に基づき、AIデマンド交通システムを導入することで、乗車される方々を最適なルートで送迎することができるように改善すると思います。これによりスマートフォンでの予約が可能となり、休日や時間の制約なく予約でき、難聴や電話が困難な方でも利用がしやすくなり、利便性の向上が見込めます。本町はこのデマンドタクシーにより、町中心部と周辺各地区とをつなぐ「コンパクト・プラス・ネットワーク」が形成されておりますが、更に一台車両を増やし、町民の皆様のニーズにこたえていきたいと思っています。公共交通のあり方につきましては、今後もさらなる調査研究をしてまいります。
橋梁の整備に関しましては、友沼橋の長寿命化工事を行い、安全で安心な道路サービスを提供してまいります。
施設面では、夏の暑い日での体育の授業対策や有事の際に安心して町民が避難できる環境整備のため、中学校体育館及び町体育センターのエアコン設置に向けた設計を行います。
また物価高騰対策として、学校等への給食食材費の補助を行ってまいります。
少子高齢化対策
人口減少や少子高齢化の進展に伴い、町民が抱える様々な課題は複雑化・複合化の一途をたどっておりますが、その解決に向けては、関連する全ての施策を連携させて進めていく必要があります。現在、総合サポートセンター「ひまわり館」では、子育て中の若い世代や高齢者の方、生活困窮者や障がいをお持ちの方等の様々な相談や支援をワンストップ体制で行っております。引き続き支援関係機関等と連携し、包括的な支援体制の充実を図ってまいります。
また、切れ目のない子ども・子育て支援の充実のため、その中核を担うこども家庭センターを設置し、安心して子どもを育てられる環境整備を行ってまいります。
町では「子どもは町の宝」と位置づけ、子育て支援の充実を図ってまいりました。さらに引き続き、「子育てしやすく住みやすいまち」を推進して、「子育てするなら野木町で」と言われるように、力を入れてまいります。町の未来を担う大切な子ども達を地域全体で育み、みんなで育むことで、将来、若い力が政策にも反映され、町づくりにも参加していただくようになればと思っています。
子育て支援策としては、引き続き18歳までの医療費無料化や出産祝金、第3子以降小中学校等入学祝金支給を行ってまいります。また、より多くの子育て世帯を支援するために、保育園の待機児童ゼロを継続します。さらに、3歳児未満の第2子保育料免除事業とともに、働き方にかかわらず、6ヶ月から3歳児未満の子どもを保育所等に時間単位で預けることのできる「こども誰でも通園制度」を開始します。また、令和6年度より実施している学校給食費の一部補助を幼稚園、保育園の副食費に拡大してまいります。
学校教育部門では、引き続き幼保・小・中連携により能力の向上を図るとともに、町単独で非常勤講師、支援員、スクールカウンセラー等を配置し、児童生徒一人ひとりの個性の伸長を目指します。さらにGIGAスクール構想により整備したICT機器を有効に活用した学習や、給付型奨学金制度も継続実施いたします。そして、英語教育の充実を図るため、ALT全校配置、英検3級の検定料補助等を継続するとともに、特に英語力向上推進リーダーを配して、小中学校教職員への授業支援を実施してまいります。また、ネイティブな英語に接する体験として、小学生のイングリッシュキャンプや中学生の海外派遣を実施するとともに、オールイングリッシュ授業やオンラインを活用した海外との交流事業をさらに推進してまいります。また、「自分達で野菜を育て、収穫し食べる」という体験をとおして「自分で考える力」や「自然と向き合う心」等を育む食農教育を推進してまいります。
読書のまちづくりといたしましては、子どもの読書意欲を喚起するために、学校図書館司書についても全校に配置するとともに、ブックスタートの拡充、ブックプラスワン事業の継続を図り、「きらりと光る読書のまち野木宣言」にふさわしい読書活動を推進いたします。
次に「町の財産」と位置付ける高齢者の皆様には、住み慣れた地域で、安心して生活していくことができるよう支援してまいります。具体的には、フレイル予防等の各種教室や講習会の開催、ふれあいサロンや老人クラブ等、楽しい集いの場の活動を継続していきます。また、一人暮らしや高齢者のみの世帯の方には、安全安心見守りネットワーク事業に加え、緊急通報装置の貸与や軽度生活支援事業等もご利用いただき、それぞれにあった安心した暮らしが、自立性をもって続けられますよう、支援してまいります。高齢者外出支援事業、高齢者への配食サービス、高齢者等のごみ出しサポート、町外の病院等への高齢者通院時タクシー料金助成、高齢者等見守りキーホルダー交付などの事業等で引き続き支援してまいります。また、補聴器を必要とする65歳以上の方を対象に、補聴器購入補助を創設します。
町の活性化策
商業・観光振興により、にぎわいを創出し、活力に満ちたまちづくりを行ってまいります。まず、町の一大イベントであります「ひまわりフェスティバル」については、昨年は大変暑い中開催されましたが、多くの皆様にご来場いただき、盛会のうちに終了することができました。本年も「ひまわりの里」野木町にふさわしいフェスティバルの開催を目指しますが、猛暑対策は必須のことと思います。さらに、煉瓦窯におけるレンガ窯フェスタや農・商・工一体となった産業振興を図るための「産業祭」につきましても、引き続き開催してまいります。
また脱炭素化促進、安全性や経済性を高めるためにも、小中学校をはじめ、野木町文化会館、公民館、体育センター、総合運動公園のテニスコート等の照明をLED化します。
農、商、工の活性化策としまして、まず町の農業の振興策として、引き続き農業の法人化や経営規模の拡大、中谷土地改良事業の推進、グリーン農業やスマート農業の推進等を行っていきます。また農業従事者の減少や耕作放棄地の拡大といった課題を解消し、将来の農地利用の姿を明確化するために策定された地域計画に基づいて農地集積を行ってまいります。ほかに農業次世代人材支援事業により新規就農者への支援を重点的に進めることにより、町の大きな課題である後継者不足の解消にも努めてまいります。
商業の振興につきましては、引き続き中小企業融資事業や商工会支援策を推進し、共に町の活性化を図っていきたいと思います。
工業の振興につきましては、企業誘致奨励金事業を継続するとともに中長期的な視点に立ち、地域活性化のため交通アクセスの利便性を活かした新たな工業団地の整備について引き続き研究を進めてまいります。
また、道の駅の整備推進につきましては、長年研究を進めてまいりましたが、新たな一歩を踏み出すために、産業振興課内に「道の駅推進班」を設置し、国、県及び地域の皆様と協力しながら、実現に向けて可能性の検討を図ってまいりたいと思っております。
次に、町民の皆様がいつまでも健康でいきいきと暮らせるよう健康 タウンのぎ事業としまして、引き続き“肺がん”と“大腸がん”の検診の際の自己負担ゼロを継続してまいります。また、季節性インフルエンザの予防のため、65歳以上の高齢者の方と18歳以下の方も対象としたワクチン接種の助成も引き続き行ってまいります。健康増進事業にも工夫を加えて推進していきたいと考えております。
またカーボンニュートラル施策の一環として電気自動車購入費や住宅用太陽光システム、蓄電システム購入費及びゼロエネルギーハウス購入費の補助も引き続き行うとともに、令和7年3月末には、野木町地域温暖化対策実行計画(区域対策編)が策定されますので、定めた目標に近づけるため、町全体で温室効果ガスの削減に国・県と連携しながら取り組んでまいります。
DX推進事業としては、転入・転出等の届出について、「オンライン申請システム」を導入し、住民課窓口業務の一部デジタル化を行っておりますが、さらに町民の皆様の利便性に供するため、書かない窓口やオンライン申請の拡充を行い、待ち時間の短縮や業務の効率化を推進してまいります。
また、縁結び事業を促進するとともに、引き続き新婚世帯の住居費用の助成も行い、ぜひ野木町での新生活をスタートさせていただきたいと思います。
今後も、野木町は「子育てしやすく暮らしやすい町」であることを、対外的に広く呼びかけ、国の地方創生2.0の基本的な考え方にもある「若者・女性にも選ばれる地方」としての野木町をつくるために、定住促進の補助、移住支援金等を継続実施し、移住定住の促進を図ってまいります。さらに、中心市街地の活性化を進めるために、空き家の利活用の促進に努めてまいります。また、豊かな緑地資源の保全や活用も考えていかなければならないと思いますので、緑の基本計画に掲げる施策を強力に推進し、緑のまちづくりを促進するとともに、平地林の危険木の伐採等を支援し、平地林の適正な保全を図ってまいります。
以上3重点施策につきましては、いずれも町にとりまして重要な施策ばかりですので、確実に実行し、着実な町の発展に繋げていきたいと思っております。
予算編成の基本方針
次に令和7年度の「予算編成の基本的な考え方」についてご説明申し上げます。
新年度の予算(案)につきましては、国や県の補助金等を出来る限り活用して財源を確保し、持続可能な予算編成といたしました。
令和7年度一般会計予算(案)は、99億3,300万円とし、昨年度と比較して、10億8,200万円、約12.2%の増となっております。
予算総額につきましては、野木工業団地内道路改良事業費拠出や児童手当給付事業費増が、増えた主な理由となっておりますが、継続的に3重点施策を確実に推進するための予算組みは変わりなく踏襲しております。
他に、4つの特別会計予算(案)の合計は、53億1,590万円となり、昨年度と比較して2,183万円、約0.4%の減額となっております。
国民健康保険特別会計は、被保険者の減少等により減額となり、高齢化の進展に伴う被保険者数の増加により後期高齢者医療特別会計は増額となっております。介護保険特別会計につきましては、近年の保険給付費の増減を踏まえた予算計上を行い、引き続き安定した介護保険事業を行ってまいります。
水道事業会計及び下水道事業会計につきましては、地方公営企業法に則し、適正な運営を行ってまいります。
また、将来にわたり、安定的な上下水道サービスを維持するため、堅実な経営に努めてまいります。
以上が令和7年度予算編成の概略でございます。なお、執行にあたりましては慎重かつ細心の注意を払い、効果的な施策となるよう努めてまいります。
むすびに
現在の町の財政事情は、引き続き厳しい状況ではありますが、限られた財源をあらゆる工夫を重ね、令和7年度も、町民生活の安全安心の確保と利便性の向上、少子高齢化対策、さらに町の活性化のために全力で取り組んでまいります。
私たち行政の務めは、町民の皆様が幸せを感じ、安心して暮らせる環境を整えることです。そのために、国や県、他自治体とも連携を図りながら、各施策や事業をスピード感を持って推進してまいります。
また、これからは、多様な生き方や価値観が認め合え、互いに支え合うことができるまちづくりが大切であると考えておりますので、ボランティア活動の支援や町民相互の交流、ネットワークの拡充、公民相互の事業推進も大切であると考えております。そして忘れてならないことは、女性や高齢者、障がい者等も活躍できるようなユニバーサルな環境を整えることだと思います。そして男女ともに輝く男女共同参画のまちづくりを促進します。
最後になりますが、本町は「やさしさとやすらぎに満ちた明るいまち」をまちづくりの理念としております。この野木町が「小さくてもキラリと光るまち」、そして「誰もが幸せを感じるまち、野木町」を目指して歩みを進めていけるよう、町民の皆様との協働のまちづくりをモットーに、共に歩んでまいりたいと思います。議会、町民、行政が、NOGI-ONE-TEAM(のぎワンチーム)で進んでいければ、自ずとキラリと光る町になっていくと思います。今後も皆様のご指導ご鞭撻を心よりお願い申し上げまして、令和7年度の施政方針といたします。
ご清聴ありがとうございました。