3月の声が聞けると卒業、卒園、就職等で人々は「別れ」を体験することが多く、何となく感傷的な気分になります。しかし、4月からの新しい出発も同時に思えば、明るい発展的別れと解釈することも出来ると思います。縁あって同級生、同じクラスとなり、かけがえのない友人が出来たとしたら人生における大きな収穫です。そういう私も親友はクラスメイトでありました。今でも町長職をしっかりやっているかどうか遠くで心配しています。ありがたい事です。
きざなようですが、人は別れを体験する分だけ幅が広がり、人間的に大きくなっていくのだと思います。いやそのように捉えていくことが必要かと思います。役場内も3月で年度最後となり、締めくくりをしっかりとしなければなりません。当然4月より新しい職場に異動となる職員もいます。これは学校、会社、役場同じだと思いますが、全て人間関係から成り立っていることですので、お互いにいい関係をつくる努力をしなければなりません。
組織を作るのは人であり人と人とのより良き関係が、その組織の良し悪しを決定づけていくのでしょう。その意味でもこの時期、別れの予感の中で本当の意味でお互いにいい関係を保ちたいと思います。
鴨長明も方丈記の中で言っています。「行く川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらず」と。これは世の無常を言ったと共に、「だから今出合った関係を大切に」と言っているように思えて仕方がありません。いい別れはその後もいい関係が築ける第一歩です。別れの多い季節にいま出合って共にいる人々のかけがえのなさに心から感謝の気持ちを忘れないでいたいと思います。
2013年広報のぎ3月号掲載