この5月より元号が変わり、新しくなります。平成の時代も、残すところ少しとなりました。
思えば昭和生まれの私ですが、以前は、よく「明治は遠くなりにけり」などと表現されて、時の流れの早さを語ったものでした。そんな時には、はるかな明治や大正に自分なりのロマンを感じて、それぞれ特徴や出来事を調べ、歴史が大好きになったりしました。
日本の年号は、その時代を彷彿とさせる、独特のものだと思います。生まれた年号を聞けば、ことば使いなり付き合い方がだいだいわかる気がします。私がお付き合する若い方たちはあらかた平成生まれです。私などは当時の小渕官房長官が厳粛な面持ちで「平成」の色紙を掲げる姿を鮮明に思い出します。平成生まれの若い人たちと随分時代背景は違っても、世代を超えての交流はお互いの活力源となると思います。やはり人間同士、違いはあっても本音でぶつかっていくと、分かり合えることはあると思います。先進的な科学に裏付けられた豊かな文化や物に囲まれていることが当然と考える若者たちと、戦争の恐怖や物不足の危機を知りすぎている年代の人たち、ともにすべての人たちが明るい未来に向かえるような新年号であるといいですね。
この平成の世は、自然災害はありましたが、大方、波風の少ない、平らかな時代であったと思います。文字通り「内平らかに外成る」「地平らかに天成る」にふさわしい年月でした。平和に過ぎた平成の響きには、愛着もありますが、もう少しでお別れです。5月からの新年号に期待し、新しく元気な出発の時を迎えたいと思います。
2019年広報のぎ3月号掲載