節分の声を聴けば、やがて来る春につい思いを寄せてしまいます。厳寒の2月でも、毎年庭さきの蝋梅はつぼみを丸々と膨らませては、ちらほらと咲き始めます。まるで蝋細工のような淡黄色の花は、心地よい香りとともに美しく冬の青空に映えています。葉よりも先に、しかも寒さが厳しい時期に咲く可憐で薫り高い蝋梅の花が私は大好きです。そしてその強さにも感動します。冬の青空を背景に透き通る蝋梅の花が輝きを増すように、野木町に育つ子供たちの伸びやかな成長を見守れる大空のような存在となりたいと思います。今年も寒さに負けない元気な子供達であってほしいと思います。
菅原道真公はかつて「東風吹かばにほひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ」と詠みましたが、梅の花に託して、悲しみを詠う思いは、どんなに残念であった事でしょう。梅の花と人が一体となって、思いを託す苦しみはどれ程かと思います。この寒い季節になると梅に道真公を思い、また違った意味で春を明るく迎える花として、私は蝋梅の花に元気を頂きます。枝にピッタリとつき、薫り高く美しく咲く蝋梅の何と力強い事!私はその花にも支えられて4月からの新年度へと、明るく思いをはせることができます。2月は寒い中でも春への秘めた熱い思いを感じる時でもあります。新しい出発に向けて力を蓄え、意思を定める良い時と思っています。
今年は町制施行60周年の記念すべき年ですので、一年を通して記念の冠事業を開催し、11月の産業祭には記念式典を行いたいと思っています。その頃までには新型コロナウイルス感染症も下火になっているといいのですが。「冬来りなば春遠からじ」とも言いますね。
2023年広報のぎ2月号掲載