野木町の南端、古河市緑町の住宅街に隣接する田んぼの真ん中に小さなお宮があります。地域の人からは〈おちご様〉と呼ばれて熱心に信奉されています。野木神社に残る『野木宮要談記』によれば、ここは旧鎌倉街道筋であったらしく、大きな杉の木が何本かある中に鳥居があって、傍らに清らかな水をたたえた池があったとされています。干ばつの時には池に入って身を清め、水垢離をして雨乞いの祭りをしたようです。現在では地形も変わって水田が広がっているだけですが、昔に思いを馳せれば、物語は限りなく膨らんでいきます。鎌倉街道は疾走する軍馬も池周辺で一休みし、「いざ鎌倉へ」と嘶いたかもしれません。ちなみにここは面白いことに、野木の1番地だったと伝えられています。なんだかそれだけでもうれしくなります。友人たちとワイワイあぜ道を進み、お宮を訪ねた楽しい思い出も重なって私のハートにキラキラ光るキラリ倍増スポットとなっています。
野木町のあちこちを見渡せば面白いところ、ちょっと変わったところがもっといっぱいあると思います。皆さんも探してみてください。
2009年広報のぎ9月号掲載